幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
私と同じ長い黒髪に美人の顔立ち。
「私と同じで貴方の名前にも桜の字が入っていますね」

「そうね…」

桜華さんは私に熱いウーロン茶をご馳走してくれた。

「貴方となら仲のいいお友達なれそう…」

「え、あ…」

「私はこの通り足が不自由だし、剣吾さんには外には出てはいけないと言われているの」

「そうなんだ…あ。それよりも槇村先生は…」

「あ…槇村先生は近くの病院に診察のお手伝いに行かれてますよ。貴方のお知り合いですか?」

「私の担当医だったから…」

「…じゃ貴方も妊娠してるの?桜さん」

「私はその…」

賀集さんに中絶薬を飲まされて、流産したと言えなかった。


「流産したと言うか…」

「・・・それは…」

「…私の事はいいんです…槇村先生は無事なんですね」

「えぇ~先生には良くしてくれています」

東亜でも有名な産科医。
賀集さんも有能な医師を桜華さんの担当医にしたと思う。
私はウーロン茶を飲み干し、目の前のゴマ団子を食べた。



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