幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
部屋の清掃を全て終え、リーダーの渡瀬さんに完了報告の電話をした。

「玉城です。
麻布『グレイル』の部屋の掃除完了しました」

――――お疲れ様、鈴木君の働きぶりはどう?

「彼は私の指示に従い、真面目に清掃してくれました」
彼の仕事に対する意欲は私も見習うべき点がいっぱいあった。

――――それは良かった。それより何もされてない?

渡瀬さんの声が急にくぐもった。

「渡瀬さんが心配するようなコトは何もありません」

私と渡瀬さんは交際して二年が経っていた。
夜の仕事を辞めて、昼間の仕事を探したけど、不景気でもないのに、仕事が見つからなかった。

惨敗続きの私は夜の仕事に戻ろうかと考えてしまった。
その諦めた矢先に『ホームクリーン』のアルバイトが決まった。


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