幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
「用意周到だな。紘人」

「お褒めを頂き光栄です。紡様」
俺達は紘人さんが持っていたガスマスクを着け、タワーマンションの出入口に辿り着いたが、マンションの下層階も煙と炎が上がっていた。

「…これでは…中に入れない…」

一人の男がよろよろと歩きながら外に出て来た。

「・・・賀集さん!?」

「貴方達は・・・!!?」

賀集さんは顔に軽いやけどを負い、右腕に怪我を負っていた。
「何があった??賀集」

「ボス…見ての通りですよ…手のひらを返され、殺されかけました…」

「!!?」

「・・・最初から私の事・・・なんて…信用していなかったんでしょう…」

賀集さんはその場に倒れ込んだ。

「しっかりして…賀集さん…」

「・・・お前だろ!奏弥を拉致したのは…」

「奏弥?あ…槇村先生・・・ですか…槇村先生は・・・このマンションの三十五階に・・・居ますよ」

紘人さんは自分の着けていたガスマスクを外して、賀集の顔を覆った。

「煙をかなり吸っているな…賀集…」

「桜…華を・・・助けて…くれ・・・」

「桜華って…賀集さんの恋人か??」

賀集さんは意識を失った。
「賀集さん!?」









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