幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
「三十五階と言っていたな・・・」

紡さんは背負っていたリュックの中から小型のドローンと送信機を取り出した。

そして、ドローンは駆動音を響かせて、タワーマンションに沿って、空高く舞い上がった。

「紘人…多久也に連絡して、タワーマンションのヘリポートにヘリと飛ばすように要請してくれ」

「分かりました…蒼斗…賀集を頼む…」

「はい」

「何処だ??」

紡さんは必死にドローンを飛ばして、奏弥さん達の居る部屋を探し回った。

―――桜も一緒に居るのか?それとも…この火事の騒ぎに紛れて、逃げたのか?

「ヘリ要請は完了しました…槇村先生たちは居る部屋見つかりましたか?」

「まだだ・・・」
紡さんの声にも少し焦りが混じっていた。

こうしている間にもどんどんと火がタワーマンションを包んでいく。



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