幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
隣に居る蒼斗さんはずっと黙って、私達の会話を訊いていた。

そして、ポツリと呟く。
「二人は本当に姉妹のようだな…」と…

「姉妹か…そうかもしれない」

「槇村です。入りますよ。桜華さん」

ノックして槇村先生が入って来た。

私達が今生きているのは槇村先生のおかげ。

「蒼斗と桜さんも来てたのか…」
「お邪魔しています…」

「桜華さん、具合はどう?」

「大丈夫です」

「安心した…君を東亜に連れて来られて本当に良かった。蒼斗もありがとう…」

「いえ、こちらこそ…奏弥さんには桜が助けられましたから…」

『夢街』はあの火事で三分二が焼失した。

でも、自治区となっている以上、我が国の介入は難しいらしい。

「・・・賀集さんの容体はどう?」

「あ…峠は越えました」

賀集さんは火事の重要参考人として、警察病院に入院。桜華さんとは離れ離れになった。

「そっか…」

「・・・剣吾さんとは会えませんよね」

「そうだね…」

蒼斗さんも言葉を濁した。

二人が再び暮らせる日々は薄いかもしれない。

私だって…




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