幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
彼女とこうして昼飯を食べているけど、下準備が終われば・・・さようならだ。
会うコトはないだろう。
女性経験は豊富だけど、同じ女を側に置くコトはない。
危険を常に伴う仕事だし、秘密が多い、カラダの関係だけならともかく心を重ねて俺と恋愛するのはよほどの忍耐力と理解力がある女ではないと無理だと思っていた。

「ご馳走様でした。玉城さん」

「こちらこそ、鈴木さんのおかげで、美味しいかき揚げが食べられました・・・」

サービスのかき揚げを美味そうに食べていた玉城さん。
そのかき揚げがよっぽど美味しかったらしい。
車に戻るまで、かき揚げ話をしていた。

可愛い顔して、渡瀬さんのようなバーコード頭の冴えない中年男と不倫してる彼女。
渡瀬さんに何か弱みを握られているのだろうか?

「そうだ・・・今度、俺の行きつけのバーに連れて行ってあげますよ」

「えっ?」

彼女の瞳がパチクリと瞬く。

「いえ、でも・・・」

「今日の奢りの礼です」

「私・・・大した額は奢っていませんけど・・・」

彼女は俺のように羽振りの良い男に巡り合っていないよう。

「嫌ですか?」

「いえ、嬉しいです・・・」

「じゃ決まり・・・」
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