幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
彼に言われ、私は口内にビールを流し込んだ。
口の中と喉奥に広がるビールの苦み。
「冷めた?」

「少し」

「そう慌てずにゆっくり食べなよ・・・」

「うん・・・」

「玉城さんって意外とあわてんぼうだね・・・」

「そんなコトはありません」

「前歯に青のり付いてるし・・・」

「えっ!?」
私は口許を覆った。

「嘘だよ.嘘。玉城さんって単純」

「鈴木さん!?」

軽く空腹を満たし、ライトアップされた桜並木のトンネルを歩いていく。
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