幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
別れ
ペアで清掃の仕事をこなし、夜は彼のマンションで朝まで過ごす同棲生活が始まった。
二人の暮らしを楽しみながらも、彼の肩の銃創の傷が気になっていた。
彼には何か秘密がある。
私にも秘密があるし、お互い様だった。
「ご馳走様」
彼は夕食を食べ終えるとスマホを手に持ち、立ち上がった。
「俺、今からゲーム始めるから・・・今夜は君の相手出来ないよ、この穴埋めはするから許してね。桜」
彼は甘さを込め、私の耳許で囁いた。
「ゲーム中は絶対に部屋に入って来ないコト。いいね。桜」
「分かった・・・」
彼の趣味はゲーム。
ゲームしない私には分からないけど彼はそのゲームの世界では強者らしい。
部屋の家賃、生活費は全て父親からの援助で賄い、自身のアルバイト代はゲームの課金に使っている.
全く自由になるお金のない私は彼の生活が羨ましかった。