幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~

「桜…君は写真を見ただけか?
他に何かに触れたり、音声を訊いてないか?」

二人でダイニングテーブルを囲んだが、次郎さんは朝食には全く手を付けず、私を質問攻めにした。
さながら、彼は刑事で私は容疑者のよう。

「写真を見ただけです。あの写真は『グレイル』の部屋ですよね・・・」

「・・・さあな」
彼はフッと笑い、はぐらかした。
「どうして部屋の写真なんか・・・」
「君は関係ない」

強い口調で言い放って、コーヒーを含んだ。

思い起こせば、彼の行動にはおかしな部分があった。
単独で部屋を掃除したがるし、部屋を執拗にキョロキョロと見ていて、不審な雰囲気があった。

「次郎さん貴方は何者ですか?」

「・・・桜に答える義理はない。それ以上、詮索すると追い出すぞ」

彼は向きに返し、切れ長の瞳で睨み据えた。

「次郎さんは何かを調べていますね・・・探偵?それとも警察ですか?」






< 39 / 161 >

この作品をシェア

pagetop