幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
私達はビルとビルの間の隙間に身を潜めた。

「くそっ、何処だ??」
警察が私を血眼になって捜していた。

命じられるままとは言え、私も犯罪だと知りながら加担した。

自分の罪を目の当たりにして総身が震える。

「怖いのか?」

「はい・・・」

「ここのシマを取り仕切る連中は皆、強面だから・・・」

「!?」

彼は金髪の髪を弄りながらポツリと呟いた。

「貴方は?」

「俺もそっちの人間」

彼は壁に背を預けて、煙草を燻らせる。

「これに懲りて、君もちゃんとしたまともな仕事に就くんだな」

無戸籍で学歴もない私がまともな仕事に就けるはずがない。
でも、私を救ったくれた彼に反論できなかった。

彼の吐いた紫煙は夜の闇に消えていく。

「夜は冷えるだろ?着なよ」

私はノースリーブのドレス。確かに肌寒いけど。
それとは別の恐怖心で震えていた。

彼は吸いかけの煙草を足許に捨てて、長身のカラダを屈めて、私の腰を抱いた。
頬に感じる彼の吐息。

吸っていた煙草の匂いと麝香の香りが私の全身を包んだ。





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