幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
「いいえ、結構です!」
私はハッキリと断った。
「俺のコトスキじゃなかったの?」
私のキモチを見透かす黒い瞳が意地悪く光っている。
王子様に似た彼に優しくされ、誘われ、抱かれ・・・私は彼をスキになっていた。
でも、彼が私に優しかったのは唯の同情で、自分の仕事を邪魔させない為の手段に過ぎなかった。

「名前が偽名ですか?」


「そうだよ。君に本名を告げるつもりないよ」

「私に話してくれたコトも全部嘘なんですか?」

「当然だ・・・全ては仕事の為だ。俺のカラダが要らないなら、報酬は何が欲しい?君には色々と協力して貰ったから・・・君の望むモノを言いなよ」

いつも誰かに虐げられ、生きるコトしかできなかった。
傲慢な彼の言い方にキレた。

「何も要りません!!」

私は強く拒絶した。



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