幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
彼を何も言わず、私の唇を奪った。
私はヘルス嬢。
客は同等に扱う。客との恋愛はご法度。
それが雇用条件だった。
キスを交わすと相手に感情移入して、恋愛に発展するかもしれない、だからキスはしないでと店長に言われた。
私の寝た男の数は一つの手で収まる。
愛し合って寝た男は居ない。
彼は何度も角度を変えたキスを繰り返した。
カラダの芯が熱が帯び、全身が痺れるような感覚を味わう。
息するのも忘れ、頭の中も真っ白になった。
甘く蕩ける彼のキスに陶然としている私とは裏腹に彼は冷静で、顔色一つ変えなかった。
「行ったな・・・」
「えっ?」
「君は気づいてなかったようだね。舞い戻って来たんだよ・・・」
彼はキスしながらも尻目で路地の向こうの表通りを見ていた。
私は後で気づいた・・・
彼は私の姿を隠す為に自分の上着を羽織らせ、キスしたんだと。
「・・・一度ならず二度も助けてくれてありがとう・・・」
「いいよ。別に。報酬はちゃんと貰ったから・・・」
私は彼に上着を返した。
「俺も仕事なんだ・・・この街に居るなら、また会えるかもしれないね」
彼は柔らかな笑みを湛え、右手をヒラヒラさせて表通りに戻っていった。
私はヘルス嬢。
客は同等に扱う。客との恋愛はご法度。
それが雇用条件だった。
キスを交わすと相手に感情移入して、恋愛に発展するかもしれない、だからキスはしないでと店長に言われた。
私の寝た男の数は一つの手で収まる。
愛し合って寝た男は居ない。
彼は何度も角度を変えたキスを繰り返した。
カラダの芯が熱が帯び、全身が痺れるような感覚を味わう。
息するのも忘れ、頭の中も真っ白になった。
甘く蕩ける彼のキスに陶然としている私とは裏腹に彼は冷静で、顔色一つ変えなかった。
「行ったな・・・」
「えっ?」
「君は気づいてなかったようだね。舞い戻って来たんだよ・・・」
彼はキスしながらも尻目で路地の向こうの表通りを見ていた。
私は後で気づいた・・・
彼は私の姿を隠す為に自分の上着を羽織らせ、キスしたんだと。
「・・・一度ならず二度も助けてくれてありがとう・・・」
「いいよ。別に。報酬はちゃんと貰ったから・・・」
私は彼に上着を返した。
「俺も仕事なんだ・・・この街に居るなら、また会えるかもしれないね」
彼は柔らかな笑みを湛え、右手をヒラヒラさせて表通りに戻っていった。