幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
「蒼斗さん、手の甲怪我してますよ」

「え、あ・・・」

男を取り押さえる際に、右手の甲にかすり傷を負っていた。

桜はその小さな傷を目ざとく見つける。

「痛くないし、大丈夫だよ」

俺は笑って、流す。

「でも・・・」

「桜って、心配性だな」

接近戦となると傷は付き物。
この程度の傷なら全然平気だった。

左肩に銃弾を命中し、瀕死の傷を負ったコトもある。
その際は爺ちゃんも血相を変え、『BP』を抜けろと詰め寄った。


「それぐらいで心配なら、桜は刑事の妻は務まらないな」

「・・・蒼斗さんはやっぱり刑事なんだ・・・」

「まぁな・・・」

刑事よりも危険な任務に就く『BP』とは言えなかった。

『BP』の存在自体が一般市民には秘密。

彼女にはバレないよう努力しないと。

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