幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~

桜sideー

私は彼の勧めて先にお風呂に入った。

彼と同棲していた部屋の浴槽よりも広く、サウナ室も完備され、足許は大理石とセレブ使用。

私がお風呂に浸かっている間に、彼はバスローブを脱衣所にそっと用意してくれていた。

彼のおかげで、私がこの国で存在する人となり、偽装ではあるけど、結婚もできる。

私とお腹の中の子の恩人に夜は奉仕しないと。

妊娠のせいか、浴槽に浸かり過ぎたのか頭がボーッとし、浴槽から上がると急に眩暈がして、その場に蹲ってしまった。

「桜、大丈夫か?」

バスルームの扉の向こうに人影が見え、蒼斗さんの声が聞こえた。

「少し眩暈が・・・」

「眩暈??待ってろ、入るぞ」

蒼斗さんは先に私に断りを入れ、バスローブを持って、遠慮げに入って来た。

そして、蹲った私のカラダにバスローブを羽織らせる。

「長風呂だし、心配で見に来た。俺の予想通りだ。
普通のカラダじゃないのに、浴槽に浸かり過ぎて、逆上せたようだな。全く」

半分呆れと半分甘さを滲ませた蒼斗さんの声。

「髪とカラダは洗った後のようだな・・・」

彼は私のカラダをバスローブで優しく包み込んで、お姫様抱っこした。

「あ、蒼斗さん!?」

「おとなしく甘えろっ、桜」

「蒼斗さん・・・」

私は彼に抱っこされ、寝室に運ばれた。


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