幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
私はカラダを起こし、彼に背中を向けた。
彼はベットに浅く腰を掛け、私の髪をドライヤーで乾かしてくれた。

「熱かったら、言えよ。桜」

「うん・・・」

人に髪を乾かして貰うなんて飼い犬にでもなった気分。

何だか擽ったい感じになり、肩を震わせた。

「擽ったいの?桜」

「少し・・・」

「もう少しで終わるから・・・待ってて」

「うん」

「桜の髪・・・もう少し手入れすれば、ツヤのあるキレイな髪になると思うけど。
今度、俺の知り合いの美容院連れて行ってあげるよ」

「ありがとう・・・」

「はい、できたよ」

「ありがとう・・・蒼斗さん」

「君は此処で寝るといい。
俺はリビングのソファに寝るから・・・」

「でも・・・」

「妊婦の君に変な気起こしたら、大変だろ?今は大切な時期だ。
君は自分のカラダに気を遣え」

「ありがとう・・・」

彼の優しさと労わりが心に染み渡った。

彼の言う通り、今は私一人のカラダじゃない。
お腹の中の子の為に今は彼に甘えよう。

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