幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
私は翌朝、早起きして彼の為に朝食を作ろうと冷蔵庫を開けたが、大したモノは入ってなかった。
食べられると言えば、昨日コンビニで買ったスナックパンと私が残したスイーツのシュークリームだけ。

「ちゃんと買い物しておくんだった・・・」

私は卵とヨーグルトとウィンナーを買いに何も考えず外に出た。

昨日のコンビニは強盗未遂事件で、臨時休業していた。
この辺りの地理感覚が全くない私はスマホで周辺のコンビニを検索。

十分程、モノレールの駅前まで歩き、ようやくコンビニを見つけた。

「あったあった」

私は安堵して、自動扉を潜り、お目当ての食材を購入した。

コンビニを出ると蒼斗さんからの電話で、スマホがバイブする。

「桜ですけど・・・」

――――桜、今何処に居るの?

彼の声音は心配に満ちていた。

「駅前のコンビニに居ます」

――――ここは朝でも物騒なんだ。女性の一人歩きはダメだぞ


「ゴメンなさい・・・」

通話を切ると、彼が私の姿を見つけ、駆け込んで来た。

「!!?」

彼は私を捜しに外に出ていた。

「桜…見つけた」

彼の顔に安堵の色が見えた。

「心配かけて、ゴメンなさい・・・」

「・・・何してたの?買い物なら昨日の晩、済ませただろ?」

「ちょっと・・・卵とウィンナーを買って、炒めようかと・・・」

「・・・俺の為に朝食を作ろうとしたワケ?」

「うん」
私は頷いた。
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