幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
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「香は…私の幼なじみだったんですよ・・・」
告別式の終えた後に、剣吾さんが俺にそっと話してくれた。
「彼女は私の初恋の人でした。
兄さんと同じ立場なら、私も迷わず、『BP』を裏切っていたと思いますよ」
彼は兄に同調した。
「・・・私は『BP』を辞めます」
「えっ?」
「・・・ボスのやり方には付いていけません・・・」
「でも・・・貴方は・・・」
「・・・私の代わりなんて…いくらでも居ます。命は一つ。
私は自由に生きますよ。ブルー・・・」
「剣吾さん・・・」
「これは貴方のご両親から頂いた小切手です。お返しておきます」
剣吾さんは俺の小切手を渡した。俺は小切手の記された額に愕然とした。
「貴方の代わりに死んだ兄への慰謝料かもしれませんが・・・
受け取れません。お金持ちは何でも金で解決しようとする。
私はそう言うのは嫌いなんですよ」
彼は顔を顰め、眼鏡を弄った。
「俺は・・・」
俺は何も知らなかった。父さんが俺に黙って勝手にしたコトだと弁明する前に剣吾さんは踵を返した。
「では、今日はありがとうございました。
私は失礼しますよ、ブルー」