幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
彼がエレベーターへと案内。
私達が乗り込むと静かに扉が閉まり、ガクンと揺れ動き、一気に上昇していった。
彼の押したボタンは最上階。

このビルのてっぺんだ。
さぞかし、見晴らしも素敵だと思った。

私は頭の中で反芻し、緊張感を追い出した。

そうでないと神経がもちそうになかった。

「黙り込んで、何考えてるの?」

「えーと今夜の夕食のメニュー」

「えっ?」
蒼斗さんは目を円くした。

「他のコト考えてないと緊張してどうしようもないから・・・」

「別にそう緊張するコトないさ。君は黙っていればいい、俺が全部爺ちゃんに説明するから」

「そう?」

「君の素性がバレたら、まとまる話もまとまらないからね・・・」

「それもそうね・・・」

元ヘルス嬢が孫の嫁なんて、反対されるのは目に見えている。
私は沈黙を守り、口をつぐんでいた方がいい。


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