幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
「紹介します。彼女の名前は玉城桜。
俺の妻となる女性です。お爺様」

「・・・」

「だからその・・・見合いの話は断って下さいね。お爺様」

私の目の前に座る立派なちょび髭を生やした老人が桐生捺会長。
国土交通大臣も務めあげたと言う凄い人らしい。

確かに纏うオーラも威圧感があった。

「初めまして…桐生会長、玉城桜です」

「わしは蒼斗の祖父の桐生捺だ。よろしく」

「お爺様が望むひ孫も身ごもっています」

「それは本当か?桜さん」

「・・・はい」

「・・・デキ婚か・・・全く」

桐生会長は嘆息した。

「まぁ、めでたい話じゃないですか・・・父さん」

隣に座っていた蒼斗さんの伯父の桐生岳社長が渋い顔の会長を窘めた。

「・・・なぁ?蒼斗君」

「はい・・・あんなにひ孫を切望してたのに・・・いざ、出来たと訊けば…嘆くなんて・・・酷いなぁ。お爺様は・・・」

「別に嘆いていない・・・そのデキ婚が・・・嫌なだけだ」

「・・・今はデキ婚とは言わず、授かり婚と言うんですよ。お爺様」

「・・・分かった・・・ほら、隣の蓮にも報告してやれ」

「言われなくても分かっています」

「桜さん、カラダを大切にな・・・」

「お気遣いありがとうございます。桐生会長」






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