幻想ウエディング~人魚姫には王子様の甘いキスを~
無益な殺生
診察を終えて、俺達は一旦『東京ベイランド』の自宅に車で戻る。
道中、桜の顔色が沈鬱になっていた。

「どうした?桜」

俺は首都高速を颯爽と走りながら、隣に座る桜に話し掛ける。

「一応、渡瀬さんにも話した方がいいかな?」

「渡瀬さん?あ・・・」

桜はまだ渡瀬さんが殺されたコトを知らなかった。

「奥さんには悪いかな?」

――――渡瀬さんが殺されたのは『王龍』に関わった彼自身にも責任はあるけど。

俺の責任も一理ある。

「桜には隠していたけど・・・渡瀬さん、殺されたんだ」

桜の顔が蒼白した。

暫し、車内に嫌な沈黙が続く。

「・・・俺のせいでもある」

「・・・誰に殺されたんですか?」

「証拠は掴んでいないけど・・・残忍な殺し方を見れば『王龍』に間違いない」

「『王龍』ですか・・・」

「・・・桜にはずっと話せなかった。ゴメン」

「渡瀬さん、死んじゃったんですか・・・」

「・・・犯人はちゃんと逮捕するから・・・」

「・・・もしかして、それもあって・・・偽装結婚を提案したんですか?」

「・・・まぁ、罪の意識もあったからね・・・」

『東京ベイランド』に続く出口がに案内板が見え、俺は車線変更をした。

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