元姫は辛くても笑う
side 莉子
びっくりした……、どうして、祐飛。
抱きついたんだろ…。
きっと、祐飛からしたら、私を……多分信じてくれてた…のに、裏切られた気分になってるよね。
いちごタルトのことも忘れて、雪兄の元に戻る。
「あ、おかえり……って莉子!?どうしたのそれ!?」
雪兄が、私の手を見て驚いている。
まぁ、そうだよね。だって、ちょっとして帰ってきたと思ったら怪我してるんだもんね。笑っちゃうね。
「ちょっと、手元狂ってナイフ刺さっちゃった〜」
「ちょっとって……もう今日は帰ろ。普通じゃないからねそれ。」
そういい、雪兄は怪我してない方の手を握って、車に向かった。
雪兄本当に心配症だな……。
大袈裟すぎだよ。
「で、何があった?誰かにやられた?」
家に帰るなり、質問攻め。
それに苦笑いが零れる。
「黒崎祐飛に私が如月ってバレたくらい?」
「学校替えよう。莉子まずいだろ。」
「大丈夫……もしなにかあったら、ちゃんと頼るから………もう、同じこと繰り返さないから。」
私が言うと、静かになる雪兄。
雪兄は、ここまで言わないと、一生心配するから。
ちょっと面倒くさいけど、そこが、雪兄の優しさだからな……。
「で、ケガはどうなったらナイフ刺すんだ?」