元姫は辛くても笑う
「今、なんか、ゾクッてきたね。」
紗由が呑気に何か言っているけど、そんなの頭に入っては来ない。
もしかして、転校生は、何か知ってるのか?
下に行こうとするとその前に、祐飛が降りていた。祐飛も今のは気づいたみたい。
それに続いて俺も降りる。
「わ……祐飛と光希降りてる……」
「おい、転校生」
祐飛が声をかけると、後ろを振り返った2人。片方はすごく嫌な顔をしていて、片方はにっこりと笑っている。
「何?クロサキ君?」
良く考えれば、この2人もあの気配を気づいた様子。
誰でも、そんなのを気づけるわけが無い。
「今のが莉子?……どういう意味だ?」
そう祐飛がきくと、2人の転校生がアイコンタクトを取る。数秒すると、こちらに向き直し、
「龍火に姫の話しても……ね?」
「あぁ、興味無いだろ。」
え、、、姫?
姫って………もう辞めてるけど?
この人達は知らないのか?
もうとっくに噂が出回ってると思っていたのに………
すると、上から、紗由が声をかけた。
「今は元姫だよー!」
紗由が、にっこりと貼り付けた笑を浮かべると一瞬。2人の動きが止まった。
………?なん、だ?
「ちょ、面白くないですよ〜」
「もっと、笑える嘘を……」
「本気だ。」
2人の言葉を遮って、言う祐飛。
それに、目を大きくしている。