元姫は辛くても笑う

なにか言い合いをしてると思えば、
耳元を俺らにみせてきた。
!?
それを見て驚く。
その耳からはキラキラ光るもの、が見えた。
2人の耳にはある、ピアスがついてある。
それは、族の中じゃ誰もが知っているようなもの。
誰もが憧れるものが持つもの。


「私は紅月の、舞(まい)。」

「……紅月の炎(えん)だ。」


紅月。それは、元世界No.1の族。
今の代は中学から組んでいた族……だった。
40年程の歴史を持つ族。
ってことはそんな凄いヤツらと莉子は親しいのか?
どうして紅月の舞と炎は莉子のことを?


「その紅月が、裏切り者の莉子とどんな関係なんだよ。」

「てめぇ、殺っ……」


紫音の挑発に、笑顔だった舞はすごく怒っている。
それを、炎が止める。


「妃菜、怒んな。……別にお前らに言うような………」


ドンッ!


炎が何かを言おうとした時に、大きな音が鳴った。なんの音だ?


「!…やばいぞ!早く呼びに行くぞ!」

「わかってる。……くそ、莉子のこと馬鹿にしたら許さねぇからな!!」


……舞が、男口調で、威嚇してきた。
すると、すぐに去っていく。
莉子と何があるんだ?
紅月と…………


「あの、転校生……紅月だったのか……」

「祐飛、紅月って何?」


甘ったるい声で上から祐飛に聞いている。
俺はこいつが大嫌いだ。
うざいし嫌い。
なんでみんな、莉子じゃなくてこんなやつなんだよ……おかしくなったのか……?

そして、祐飛が丁寧に説明する。
こんなやつに教えなくてもいいだろ。


「あいつらどこいったんだろ………」


太一が敬語を忘れて素で言う。
それは、多分空気を読んでのこと。
なぜか、祐飛はイライラしまくっている。
殺気だって凄い。


「絶対に莉子と紅月は関係があるよ!」

「わかってる。3人はそこで調べとけ。光希、ついてこい。」


そう言われ、不本意ながら頷いた。


「え〜私も行く……」

「どっちでもいい。来るなら来い。」


元から嫌いだけど、喋り方が変わりすぎて気持ち悪い。
俺は、絶対に、今は言えないけど、莉子の無実を主張する。
だから、もう少しだけ待ってて……
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