元姫は辛くても笑う
side 祐飛
紅月の舞と炎がどこかに去った後、莉子がなんなのか気になって、探しに行った。
探してる最中も、下川はずっと引っ付いてくる。
気分悪い………。
なんか変な香水の匂いするし。
「とりあえず、教室見に行こ。」
光希が言い出す。
……なんか、今日めっちゃやる気。
莉子が裏切ってから、ずっと、機嫌が悪かったから。
下川は無言で俺にしがみつく。
キモイな。
ガラッ!
教室の扉を開ける。
すると、何人かがこっちを見る。
「あ、莉子おかえ……」
こっちを見ずに喋り出す女。
でも、律に、肩をゆらされ俺の方を見る。
一瞬驚いた顔をしてイラッとする。
「何?なんの用?莉子いじめ?お生憎今は居ないよ。」
嫌味ったらしく言う。
……誰こいつ…
あ、最近莉子と仲良くしてる奴か……。
「じゃ、どこにいんだ?」
「莉子、どこ?」
光希と俺が聞く。
「総長裏切り者って言ったんじゃないですか?」
武尊がキツめに言う。
今龍火は半分に別れている。
片方は俺達と一緒の莉子が裏切ったと思ってる派。
片方の武尊や律は裏切ってないと思ってる派。
……莉子が裏切る前はこんな風になってなかったのにな。
「裏切ったのはアイツだ。下川をいじめた。」
「な、んで……香澄ちゃんそんなこと言うの?」
「……わ、ない……」
小さい声で言う女。
プルプルと震えながら……
「莉子が裏切るわけないじゃん!!!何言ってんの黒崎くん。」
「ちょ、香澄……」
「うるさい!いい?黒崎くん!莉子がそんなことするはずないでしょ!!」