元姫は辛くても笑う
龍火のメンバーに見送られながら外に出る。
同時に、チャイムがなる。
でも聞こえなかったふりをして電話に出る。
「……はい。」
「莉子?」
「うん。何、?」
いつもより低い声で言う。
……怖がられてでもいるのか、反応が薄い。
「今日夜にパーティーがあるから、」
「………分かった。」
「なるべく早く帰ってきてちょうだい。」
言葉を残して、私の返事を聞かずにきる。
それがもう普通になってきてるからな……。
私は今一人暮らしをしている。
ただ、あの家から逃げたいがために。
寂しいなんて感じてなんかないけど、
ただ虚しい。
如月という首輪をつけられているから。
自由なんて、手に入れたくてもできないもの。
干渉して欲しくないだけ、それすら叶わない。
だから、自分に無いものを求める。
それが普通なんじゃないのかな?
「あ、みっけ!」
「……!」
後ろから誰かの声がした。
その声の方を見ると、男の子が2人たっていた。
「綾人くんと大地くん。」
その2人はここからあまり離れていない距離にある中学校に通っている中学1年生。
1人は騎士綾人(きしあやと)。
もう1人は園田大地(そのだだいち)。
「な、!こんな時間にどうしたの?」
「莉子に会いに来た。」
「時間なんか関係ないからな!」
ドヤ顔で言う2人に、溜息がこぼれる。
……さすがに私も中学の時はこんな時間に出なかったよ。授業を真面目に受けようよ……。
「ダメだよ、こんな時間に来ちゃ!」
「えぇー」
「学校戻りなよ!」
私が言うと、しゅんとなる2人。
可愛いな……。
2人は全く接点がなかったんだけど。
私が帰ってる時に、怪我してるのをみつけて……。
それで、手当したら………。
なんだか、懐いてくれて。
「じゃあ、またな!莉子」
「また、来るからな!」
「うん、またね!授業ちゃんと受けてよー!」
とか言いつつ私が受けてないけど。
でも、綾人くんと大地くんの時間が勿体ないし。