元姫は辛くても笑う

「あ、莉子ねぇ、さっきどこに行ってたの?」

「え?」


紗由が私に喋りかけてくる。
可愛いっ……な、なんて思ってないけど。
にしても、距離が近いな………。
少し、後ろに後ずさる。


「いや、普通に寝てた。」

「え………寝てたの?」

「莉子寝てたのか?」


隣から龍火のメンバーが私に声をかける。
………寝るのが悪いのか?


「それで、何?」

「いや、龍火に入っ………」

「らないから」


祐飛が言う言葉に私が間髪を入れずに断る。
すると、みんなが、またか〜っと言う。


「いつ入ってくれるの?」

「だから、入らないってば!」


だから言ってるのに、話を聞いてよ……。
ずっと拒否ってんのに。
どうして私に構うわけ?
訳わかんない。


「なんで?」

「私は真美としかいたくないから。」

「………」


龍火のメンバーが目を合わす。
………アイコンタクトしてるみたい。
なんか、嫌な予感。

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