元姫は辛くても笑う

「莉子?」


そう呼ばれ、ハッとした。
危ない………。
悟られる前に、気づいてよかった。


「…名前だけ……、知ってる。」


誤魔化せたか、少しドキドキする。
こわなのきづかれたら……それこそ終わりだ。
先輩には言ってしまったけど。
龍火には………知られたくない。


「そっか………。」

「まぁ、そういう人何人かいるんじゃない?」


どんな話がでまわっているんだろ?
気になるな………。


「………どんな話なの?」

「聞いた話だからほんとかはわかんないぞ。」


祐飛の声にコクリと頷く。


「小さい時幼なじみだった紅雅と雷がT大学に入っていたって聞いてな。」


あ………、誰だよ、そんな情報流したの。
って、言ってもこの話してる人少ないけど。


「そんで、物凄く頭良いらしくてな。」

「……」

「ずっと、一緒だった。けど、紅月に2人が入って少しして………紅雅が裏切った。」


裏切った……ね。


「本当にすごい話だよね〜。」

「ずっと仲間だった人を裏切る…ですね。」


黙って聞く私を置いて、話し出す。
確かに聞いた分だけじゃすごい酷いよね……。
でも、あくまで噂じゃん………。

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