元姫は辛くても笑う

「そういえば、今の彼氏どうなの?」

「え〜そうだな〜。」

「うんうん!」

「肩書きには文句なしだけど飽きた。」


その会話の内容に驚きが隠せずに居た。
あんな可愛らしい笑顔をうかべる子が、、

確かに俺らは、まだその頃はNO.1の座にいなかったし。副総長にもなってなかったけど、喧嘩は強いということはここらじゃ少し有名だった。

そう思うと、不安に揺らいだ。
あんなにも好きだと言ってくれた子が、肩書き目当てとは思わなかった。

なんでこの世はそんな奴らばかりなんだ。
嘘だと言ってくれよ………。


「オトスのに時間かかったのにねー。」

「退屈しのぎさえならなかったわ。」


………。
声なんてのはでもしなかった。
ただ悔しかった。
弄ばれたんだと…………。


「ね……え、………あれ彼氏?」


俺に彼女の友達が気づいた。
すると、彼女はハッとして俺を見てきた。


「今の話聞いてた?」


無言で目を逸らす。
それは肯定を意味した。


「そっか…………」


少し、残念な声色だった。
だから、少し期待してしまった。
言い間違えだと、言ってくれるのを……


「よかった〜、別れる手間が省けた。」

「……、」


もう言葉が出なかった。
だって、信用していたやつに裏切られた。


「ま、所詮2番手、こんなのに引っかかるなんて」


そして、彼女は俺の前から消えた。
じゃあね、と残して。


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