元姫は辛くても笑う



あー、やだな………。
重たい足取りで学校に向かう。
学校に近づくにつれて学生の声が聞こえてくる。


「昨日の2 - Sの転校生かっこいいよね!」

「あの女の子は可愛いよな!!」


………、うわー朝からその話聞きたくなかった〜。
なんでこの時期に………。

他には…………、


「知ってる?紅雅!濡れ衣だったらしいよ!」

「俺も聞いた!しかも見つかったらしいし。」


紅雅の話題………、
私には場が悪すぎる………。


「じゃあ、龍火下がるかもな!」

「まぁ、無敵の紅雅が戻ってきたら勝ち目無くなるだろ。」


無敵って………
話盛りすぎなんじゃないかな?

そんな話を横に、いつの間にやら学校に着いていた。
はぁ………ついてよかった……………。
こんな話ずっと聞いていたら身が持たないよ………。


「おはよ、莉子」

「あ、光希!おはよう!」


教室に入ると、光希と目が合う。

ニッコリと王子様みたいなスマイルで見られる。
でも、少し可愛さも入ったような………。
そんな笑顔に目が眩んだ。


「昨日、先帰ったから寂しかった………」


しゅん、と、悲しそうな顔をした光希にポケーっと見ている。
すると、そんな私に築いて、


「莉子?」

「か、」

「?」

「可愛い!!」

「は?」


思ったことを口にすると、光希がムッとした。
それすら可愛く見えるよ〜。と言おうとすると、
?!光希が急に立ち上がる。

えっ?わけもわからずアワアワする私を見下ろすようにして見られる。


「俺、莉子より大きいけど?」

「う、ん。」

「男だよ?」

「うん?」


急に当たり前のことを並べられる。
い、いや、反応に困るよ……💦


「だから、可愛い禁止!」


あ、そっか………可愛い嫌か。
女の子なら可愛いがいいけど………確かにそうだね。

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