元姫は辛くても笑う

「なんで、今更探したの?」

「……俺ら謝りたくて………」

「大丈夫、終わったことだから、信じてくれないなんてことなんてもう慣れたから。」


私がそう言うと、押し黙った。
もうこれ以上ないくらい悲しい顔をした。


「でも、、、」

「「………」」

「慣れたって思ってたんだけど。みんなの優しさが……頭から離れなくて………。」


何今更こんなこと言ってるんだろ?
って、自分で思う。
私なんて、いなくても何も変わらなかったことは知ってる。


「1度、暖かさを知ったら……もう元に戻るのが辛かった。」


ただ、お飾りの関係だったかもしれない。
けど私には豪華すぎるほどの暖かい場所だったの。


「だから、憎めなかったの。恨めなかったの。。。嫌いになんてなれなくて、ただ……戻りたいって………ずっと思ってたの。」


私がそう言うと、妃菜が私に抱きつく。


「ごめんね………ずっと1人にして…………。」


ポロポロと妃菜の目から涙が落ちる。
その涙を拭い、頭を撫でる。


「俺もごめん……辛い思いさせて………。」


唇をかみ締めて、志優が私に謝る。
そんなに言わなくてもいいのに…………。


「私もごめんなさい。……嫌いになれなかったなんて言いながら………まだ少し、怖いの。」

「そ、そんなの当たり前だよ!あんな酷いこと私たちしちゃったんだし……」

「さすがにトラウマになるだろ。」


だって、まだドキドキしてる。
怖いって、記憶の中の私が何度も何度も訴えているんだ。

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