元姫は辛くても笑う

あのことを思い出す。
そりゃ、私があんなことされたらひとたまりもないよ。
多分莉子みたいに私たちに話すことさえ出来なさそう。


「銀……じゃなくて雷に連絡入れた?」

「あ、忘れてた!志優やっといて。」

「はぁ……本当になんでひなと一緒に来ないといけないんだよ。」


地獄と零す志優にイライラする。


「なら、雷に文句言えよ。ネチネチネチネチ……女子か!!」

「悪かったな……」


でも、本気で莉子は優しい。
だからこそ怖いんだ。
脆くて、壊れてしまうことがある。
雷が言っていた。
きっと1度なってしまったんだと思う。

だから、もう、そんなことを絶対にさせないから。1度私達が起こしてしまったことはもうさせない。


「そう言えば、話変えるけどあの時、よく桜氷が来てくれたな。」

「うん……関係性ゼロなのに。」


あの事件が起きてしまった時。
ボロボロで負けそうになっていた時。
桜氷が応戦してくれた。
きてから、残りの敵は全て倒して。


「俺はもう一度あの女に会ってボコボコしてやりたい。」

「あぁ。みんな同じ気持ちだ。」

例の事件の元凶……、
あの女゙岩見華穂゙(いわみかほ)あいつだけは絶対に許さない。
この殺気を隠して会話にもどった。

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