元姫は辛くても笑う

「あたりまえだろ。」

「みんな、莉子のこと好きなんだから。」

「香澄も莉子のこと好きだよ。」


前に、同じようになった時は誰も信じてくれなかった。
でも、今は仲間がいるんだ。
信じてくれる……人が。


「にしても、龍火最低だわ。」

「莉子信じないなんてクズよクズ!」

「それな、今まで莉子の何を見てたんだって話。築かないなら莉子譲れよな〜」


次々に言葉を上げていくみんな。
それで思い出した。
そして周りを見回す。


「あの、みんなお願いがあって……、」

「え?何?」

「転校生の2人には言わないで欲しいの。」


あの二人に知られたらどうするか分からないから。
それに嫌な風に思うから。


「わかった。みんな言うなよ〜」

「言ったやつ八つ裂きだからな(笑)」


っ……
こんなことで泣きそうになる。
私ホント泣き虫だな……。


「莉子泣くなって〜」

「馬鹿だねほんとに……」


今はまだ気づけなかった。
これ以上に最悪なことがやってくる、と。

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