元姫は辛くても笑う
side 祐飛
『今までありがとう。バイバイ』
莉子は笑顔を作って屋上を去った。
いや、笑顔なんて呼べない程悲しい顔で。
その顔を見て一瞬悪かったって謝りそうになった。
莉子の去り際の顔を思い出すと罪悪感が溢れてきた。
俺が悪い訳じゃないが。。。
「ほんと、莉子はそういうことしないと思ってた」
紗由が心底嫌そうな顔をしている。
莉子は信じれると思ったんだ。
その気持ちを裏切られた気分だ。
でも、まだにわかには信じれない。
本当に莉子が下川をいじめたのか。
俺はそうには全く見えない。
「下川」
「ゆ、祐飛何?」
っ……
莉子以外のやつに名前を呼ばれるのは吐き気がする。
気分が悪くなる。
「本当に莉子がお前をいじめたのか?」
「本当……私も最初は好きだったんだけど……龍火に入ると途端に……」
演技でもしてるのかという程分かりやすく顔を真っ青にし出す下川。
「信じてないの?」
「いや……別に」
適当にあしらえ、光希に目を移した。
光希は座り込んでいる。
いつもとどこか違う感じ。
というより、怒っている様子。