元姫は辛くても笑う
side 莉子
あの後安心しきって泣きじゃくったあと、
誰かは分からないけれど……私が龍火を降ろされたという噂が広まった。
他の組の人からは、
「え、莉子龍火裏切ったの!?ないわ〜」
「最低〜」
「顔だけはいいけどな。騙すとか腹黒。」
「キモ〜」
とかの声が聞こえてくる。
うん……だいたい分かってた。
龍火と燐月はこの学校の中心。
だから、味方についてる人が多い。
「おい、莉子元気出せよ。」
「何も誰も信じてくれないわけじゃねえんだから。な?」
「うん、大丈夫……。」
大丈夫…クラスの人は信じてくれてる。
………前とは全く違うから大丈夫。
「莉子何してんの?」
「十夜先輩、叶先輩、大貴(だいき)先輩、隼(しゅん)先輩、新(あらた)先輩」
声をかけられたのは燐月の先輩。
も、しかして……噂をききつけて?
な、にを言われるんだろ………
怖くてぎゅっと目を瞑る。
「?どうした……」
「ばか、十夜君、あんな噂流れたばっかだからでしょ!空気読んでよね!」
葉月先輩達がわちゃわちゃ言ってる。
あ、れ?案外怒ってない……?
「まさか、俺らがあの噂信じたと思う?」
ニヤッとかっこいい笑顔を見せてくれた。
やっぱり、聞いたんだ……。
……合わせる顔が………。