恋のルーレット
この三ヶ月間、何だかんだで一緒に帰ったり、話をしたり、一緒にいる時間が長かったせいもあって、私は世良エイジに好意を持ち始めていた。
彼の中で回転するルーレットの球が、偶然にも私に落ちたから告白したんじゃなくて、必然であって欲しい。
そんな事まで思うようになっている自分が恥ずかしい。
彼のギャップにまんまと心臓を撃ち抜かれたなんて、
めっちゃくちゃ軽い女みたい。

遊びなら遊びで、さっぱりきっぱり振ってくれたらいいのに。

お前は遊びだよって、気まぐれだよって。


だから私は、

「世良くん」

丁度付き合って三ヶ月の日、意を消して聞いてみる事にした。

「エイジね」
 彼はにっこり笑って言った。

「あ、エイジ」


「何?」


「もう私たち、付き合って三ヶ月だけど」


「へぇー。もうそんな経つか」


「経ったんだよ、三ヶ月!」



「だから何?」



「いや、だってさ。世良く……エイジって一週間で別れるんじゃないの?」



「誰が決めたのそれ」



「誰って、噂で」


「変な噂を鵜呑みにするなよ、マリィ」


何言ってんの、噂どころか事実じゃん。

この人、記憶ないの?

毎週、毎週、色んな女の子と一緒にいるの見てたし。

私もいつか振られて、また何食わぬ顔で別の女の子と付き合うものだと思っていたから。

「じゃあ、これからも付き合うでいいの?」
私は恐る恐る聞いた。
するとエイジはあっさりと
「これからも付き合うに決まってんじゃん」

普通でしょ、という声のトーンで言った。

「じゃないの?」と付け足して。

「じゃないのって、私に決定権ないでしょ」

「あるよ。嫌になれば俺の事振ればいいし」

「そうなの?」

「うん。嫌だけど」

そうなんだ。これって遊びじゃなくて正式に付き合ってたんだ。
これからもこのままでいいんだ。
私はほっとして、嬉しくなった。
でも、何故???
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