冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
「今日も美味しかったです。こんな美味しい食事を食べられるのも明日の朝一回だけだと思うと、ちょっと名残惜しいですね」

朝食をとっただけで何も間食しなかったせいか、空腹感が爆発したかのように箸が進み、あっという間に食事を平らげる。

「自分でこんなふうに料理すればいだろ?」

「私がそんなことできるわけないって知ってて言ってますよね?」

クスクス笑われると、やっぱり料理が苦手だということがバレているのだと悟る。すると。

「お待たせしました。こちら誕生日の方へのサービスデザートになります」

「え? 誕生日のデザート?」

いつの間にか横に立っていた女性従業員の気配に気づかず、一本の蝋燭が立てられ、小ぶりの苺が載ったショートケーキにきょとんと目を丸くする。

目の前に置かれた“happy birthday”と書かれたプレート付きのプチケーキに何が何だかわからなくて、視線をケーキと安西部長へ行ったり来たりさせていると、安西部長が意味深にふっと微笑んだ。

「あの、もしかして……私の誕生日、知ってたんですか?」

「ついでだ。誕生日の客へのサービスデザートがどんなもんか興味があっただけだ」

なんとなく気恥ずかしそうにしながら安西部長がカリッと人差し指で頬を掻く。
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