冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
「ここじゃ人が多くてよく見えないだろ」
身長が百五十と小柄な私は前に立つ人の背中しか見えない。
「やっぱり浜辺に行きましょう」
「大丈夫なのか?」
「はい、せっかくなのに何も見えないんじゃもったいないですから」
大胆にも今度は私から思い切って安西部長の手を握った。一瞬、驚いた顔をした彼ににこりと微笑むけれど、照れと恥ずかしさが入り混じってうまく笑えているか自信がない。
「しっかり手、繋いでろよ?」
“握ってろ”じゃなくて“繋いでろ”と言われて、同じことなのに言葉のニュアンスが違うだけでこんなにも心に響いてしまう。
もう、これは完全に恋だ。私、安西部長に恋してる……。
そうだ、と同意するように、大きくひとつ心臓が跳ねた。安西部長の手が温かいのも、視線が合うたびにドキドキしてしまうのも、それだけ意識していたからなんだと納得させられる。
颯爽と私の手を引きながら歩く安西部長が、もし今振り向いたら……私の想いを知って、また困らせてしまうだろうか。
――やめとけ、俺みたいな男。お前は俺の可愛い部下だ、それ以上でもそれ以下でもない。
私の気持ちに目を背けるような彼の言葉を思い出すと胸がチクリとする。けれど、自分の気持ちに気づいてしまった以上、もう止められないのだ。
打ち上げ花火が煌びやかに舞い、火の粉が名残惜しそうに夜空に散っていく。それはまるで、過去の失恋のようだった。けれど、安西部長とは……。
身長が百五十と小柄な私は前に立つ人の背中しか見えない。
「やっぱり浜辺に行きましょう」
「大丈夫なのか?」
「はい、せっかくなのに何も見えないんじゃもったいないですから」
大胆にも今度は私から思い切って安西部長の手を握った。一瞬、驚いた顔をした彼ににこりと微笑むけれど、照れと恥ずかしさが入り混じってうまく笑えているか自信がない。
「しっかり手、繋いでろよ?」
“握ってろ”じゃなくて“繋いでろ”と言われて、同じことなのに言葉のニュアンスが違うだけでこんなにも心に響いてしまう。
もう、これは完全に恋だ。私、安西部長に恋してる……。
そうだ、と同意するように、大きくひとつ心臓が跳ねた。安西部長の手が温かいのも、視線が合うたびにドキドキしてしまうのも、それだけ意識していたからなんだと納得させられる。
颯爽と私の手を引きながら歩く安西部長が、もし今振り向いたら……私の想いを知って、また困らせてしまうだろうか。
――やめとけ、俺みたいな男。お前は俺の可愛い部下だ、それ以上でもそれ以下でもない。
私の気持ちに目を背けるような彼の言葉を思い出すと胸がチクリとする。けれど、自分の気持ちに気づいてしまった以上、もう止められないのだ。
打ち上げ花火が煌びやかに舞い、火の粉が名残惜しそうに夜空に散っていく。それはまるで、過去の失恋のようだった。けれど、安西部長とは……。