冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
「来週の視察の準備はできてるか? お前、熱海のホテルは初めてだろ?」

「はい」

急に仕事の話に切り替わってサッと背筋を伸ばす。

「ちゃんと下調べをしておけよ? 行ったところで施設内容がわからないんじゃ、お話にならねぇからな」

「はい。抜かりないように頑張ります」

「じゃあ、いい子はもう帰って寝ろ」

すっと安西部長の大きな手が伸びてきて私の頭を撫でた。

い、いい子って……。

まるで子ども扱いされているみたいで思わずムッとしてしまう。

「私、子どもじゃありません」

「そうか? フラれたくらいでピーピー泣いてたガキだろ」

口をへの字に歪める私の表情を見て、安西部長が小さく笑った。

その顔はやっぱり子どもを宥めるみたいな笑みだった――。
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