冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
視察報告をする第一会議室はほかの会議室の中でもひと際大きく、三十人は優に収容できる。開きっぱなしのドアから中へ入ると、すでに企画部や宣伝部の面子が横並びの長机に着いていた。

わ、すごい人。

雰囲気に呑まれて徐々に緊張で顔が強張っていくのがわかった。遠目に岡崎専務が企画部の部長と話しているのが見える。

この会議で私の実力が認められれば……。

安西部長の推薦を岡崎専務が容認することで私は晴れて主任になるこができる。それにはまず、この会議で専務にどれだけアピールすることができるかだ。

予想外の人数に怯みそうになりながら適当に空いていそうな席に腰を下ろすと、しばらくして会議は始まった――。

何度か他部署を交えての会議に出席したこともあるし、中心となって会議を進めた経験もある。けれど、今回の会議には私の昇進がかかっていると思うと、どうも落ち着かない。

あー、もう、緊張しちゃだめだってば……大丈夫、きっとうまくいく。
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