冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
「……これは余談なんですけど、佐々岡グループによる偵察がありました」

「なんだって? それは本当か?」

「はい、ですからプランも含めてホテル全体を改善する余地があるのではないかと……今回はあくまでもプランの報告だけですし、余計な事を言って他部署の社員を混乱させたくなかったので……でも岡崎専務には伝えておきます」

岡崎専務は口をへの字口にして腕を組み、うーんと唸る。

「確かにな。佐々岡はライバルでもある会社だ、君の言う通りかもしれない。今までのやり方では、マンネリが進みかねない。君の意見を検討しよう。それから安西君から主任への推薦の話も聞いている。まだ決定ではないが……前向きに話を進めよう」

前向きに話を進めるって……それってほぼほぼ確定だって思っていいの?

先走りそうになる気持ちを押さえ、安西部長へ視線を向けると彼はやんわりと目を細めた。

「君の報告はなかなか興味深かった。では、失礼するよ」

岡崎専務が会議室から出て行くと、今度こそすべて終わったと肺腑の底から息を吐いた。

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