冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
ちょうど仕事が終わった頃、安西部長からメールが入った。

【十九時に新宿の南口改札前に来てくれ】

たったそれだけの短いメールだったけれど、私は何度も何度も読み返し、ついに安西部長とデートをする緊張を押さえて颯爽とオフィスを出た。

日が暮れても真夏の太陽が残した熱気で外はムシムシしている。行き交う人をチラチラ目で追いながら待ち合わせに指定された改札口付近にいると、しばらくしてから安西部長が現れた。

「悪い、少し遅れた。専務の話が長くてさ、待ったか?」

「いいえ、大丈夫です」

「しっかし、暑いな」

すっかりオフモードになった安西部長はジャケットを脱いでいて、袖を捲った逞しい腕にそれをひっかけている。

視察のときから、なぜか安西部長の筋の浮いた腕を見るだけでよからぬ妄想に掻き立てられてしまう。もちろんそんなこと本人には言えないけれど。

「これからどこに行きますか?」

「ああ、もう店を予約してあるんだ。腹減っただろ? 視察の打ち上げも兼ねて飲むか」

「はい!」

いったいどんなところに連れて行ってくれるんだろう。

期待で膨らむ胸がはちきれそうになりながら、私たちは新宿の喧噪を歩きだした。
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