冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
三度目の正直! ああ、やっぱり自分の気持ちをちゃんと伝えたい。

安西部長に告白しようとして二回も失敗している。正直めげそうになるけれど、あのキスの意味も知りたかった。ただの遊びだと言われれば、そこで諦めもつく。

そんなことを悶々と考えながら安西部長と歩いていると、「ここだ」と案内される。

見上げて見ると、その場所は一生のうちに行けるかどうかわからないような高級感漂うグランドホテルの前だった。

「あ、あの……まさかここで食事するんですか?」

「なんだお前、俺が初デートで赤ちょうちんがぶら下がってるようなオヤジくさい居酒屋にでも連れて行くと思ってたか?」

「い、いえっ! 滅相もございません!」

とは言いつつ、内心図星を指されて狼狽えた。安西部長のことだから、てっきり飾りっ気もムードもないような大衆居酒屋にでも連れて行かれるものだとばかり思っていたから意外だった。それなりにちゃんとデートだと意識してくれているのだと思うと嬉しくて頬が緩む。

ホテルに入り、エレベーターに乗ると次第に緊張が高まって「素敵なホテルですね」とか「雰囲気がいいですね」とか気の利いたことも言えずに自然と無口になってしまう。
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