冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
盗み聞きだなんて人聞きが悪い。とも言えずに動揺していると、男性が私の前へ歩み寄ってきた。

「まぁ、たいしたこと話してないから別にいいけどね……あれ? 君は……」

腰を屈めてずいっと顔を覗き込まれる。

な、なに? 話を聞いてたからって責任を問われるんじゃ……。

「さっき安西とチェックインしてた子じゃない?」

「え?」

ドキドキしながら目を泳がせていると、安西部長の名前が彼の口から出てパッと顔を跳ねあげた。

「やっぱり! 僕もさっきチェックインしたところでさ、なんか見た顔がいるって思ったんだよね」

チェックインしたとき、安西部長と同室だと知ってプチパニック状態だった。それで頭がいっぱいだったし、周りを見る余裕なんてなかった。

「ねぇ、もしかして安西の彼女さんとか?」

ひそひそ話をするような仕草で意外なことを言われ、慌てて首を振る。

「ち、違います! 仕事で一緒に来てるだけで、そんなんじゃ……」

「ふぅん、じゃあ君も東条リゾートの社員ってことか」

あ……今、私余計なこと言っちゃった?
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