冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
「ここは飛びぬけてなにか面白い施設があるってわけでもなさそうだし……夜くらい暇だろ? さっき、最上階にBarを見つけたんだ、一杯どう?」

「いえ、遊びで来てるわけじゃないので……」

迷いも見せずに断ると彼は眉尻を下げて肩を竦めた。

「ふふ、君は真面目なんだね。そろそろ失礼するよ、気が向いたらでいいからさ、連絡待ってる。じゃあね」

待ってるって言われても……連絡なんてしないし!

佐々岡さんは私の答えも聞かずに笑顔をキラリと輝かせて、その場を後にした。

どうして佐々岡グループの御曹司がうちのホテルに? あっ、そういえば報告書がどうのこうのって話してたよね? まさか!

佐々岡さんが先ほど誰かと会話をしていた内容を思い出す。

やっぱりあの人、ここに偵察に来たんだ。安西さんに報告しなきゃ!

私はすくっとソファから立ち上がると、急いで部屋へ戻った。
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