冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
商店街を歩いている間、香奈ちゃんはずっと私の手を掴んだまま離さなかった。一人にしないでと訴えかけられているようで、“親を探す”という使命感が湧く。

「香奈ちゃん、可愛い三つ編みだね。ママにやってもらったの?」

「うん、ママが毎日してくれる。ママが……ママ、わーん!」

わわわ! また泣きだしちゃった! 今の状況でママネタは地雷だよね……。

「大丈夫だから、泣かないで。ちゃんと見つかるまで一緒にいるからね」

「……うん」

なんとか泣き止んでくれて肩で大きく息をつく。

安西部長に黙って来ちゃったけど……後で怒られるかな。

連絡しようとスマホを取り出すと、香奈ちゃんが見上げて私をじっと見つめていることに気づく。

「どうしたの?」

「おねえちゃんって、あたしのママに似てる」

香奈ちゃんはクリクリした目であどけなくて可愛い。こんな可愛い子に「ママに似てる」なんて言われてなんだかちょっと嬉しかった。

「え? 私が? ママに?」

「うん!」

そっか、どうりですぐ懐いてくれたわけだ……どんなママなんだろ?

「おねえちゃんは、誰と来たの?」

しばらく一緒にいたからか、香奈ちゃんは私に慣れてきたみたいで色々とお喋りを始めた。
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