冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
「営業部のエースだなんて言われて、調子に乗ってた若造だった頃の話だよ。あいつは不祥事って言ったが……俺は不祥事なんか起こしていない」
私は安西部長がそんな不祥事を起こすような人じゃない、とわかっていたから胸を撫で下ろすこともしなかった。ドキドキと落ち着かない心臓を静かなBGMが宥める。
「たまたま接待に同行したとき、上司と取引先の会社の間で汚い金が動いていたことに気がついたんだ」
「え? それって……横領、ってことですか?」
決して穏やかではない単語を口にすると、安西部長は目を伏せた。
「会議室に忘れ物をして取りに戻ったら、偶然そういう話が聞こえたんだ。ショックだったよ、なんせ電話で資金組の話をしていたのは……俺の直属の上司だったからな」
安西部長がショックを受けたのは、きっとその上司を心から信頼していたからだ。思い出すだけでも辛い、という彼の無言の訴えが伝わってくる。
「まさか、自分の上司が会社の金を横領してるなんて信じられなかった。新人の頃から面倒を見てくれた人だけにな……。けど、俺はどうしても黙っていることができなくて、上層部に報告したんだ。そうしたら次の日、俺の身に何が起きたと思う?」
安西部長は曲がったことが大嫌いな人だ。その正義感と責任感の強さは彼の下で二年も仕事をしていればよくわかる。
「普通に考えたら汚職を見つけた時点でお手柄ってなりそうですが……」
「あの会社は普通じゃなかったんだよ」
安西部長は力なく笑って首をふるふると振った。
私は安西部長がそんな不祥事を起こすような人じゃない、とわかっていたから胸を撫で下ろすこともしなかった。ドキドキと落ち着かない心臓を静かなBGMが宥める。
「たまたま接待に同行したとき、上司と取引先の会社の間で汚い金が動いていたことに気がついたんだ」
「え? それって……横領、ってことですか?」
決して穏やかではない単語を口にすると、安西部長は目を伏せた。
「会議室に忘れ物をして取りに戻ったら、偶然そういう話が聞こえたんだ。ショックだったよ、なんせ電話で資金組の話をしていたのは……俺の直属の上司だったからな」
安西部長がショックを受けたのは、きっとその上司を心から信頼していたからだ。思い出すだけでも辛い、という彼の無言の訴えが伝わってくる。
「まさか、自分の上司が会社の金を横領してるなんて信じられなかった。新人の頃から面倒を見てくれた人だけにな……。けど、俺はどうしても黙っていることができなくて、上層部に報告したんだ。そうしたら次の日、俺の身に何が起きたと思う?」
安西部長は曲がったことが大嫌いな人だ。その正義感と責任感の強さは彼の下で二年も仕事をしていればよくわかる。
「普通に考えたら汚職を見つけた時点でお手柄ってなりそうですが……」
「あの会社は普通じゃなかったんだよ」
安西部長は力なく笑って首をふるふると振った。