冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
「柊みたいに全員に好かれるタイプは人の上に立つのに向いていない。嫌われる度胸がいるんだ。なんせお前はあの佐々岡グループの御曹司だって知っててビンタしたんだからな。普通だったら歯向かえないような相手だ。物怖じしない強さをお前は持っている。それに仕事の技量なんて色んなことを経験すれば嫌でも後からついて来るもんだ」

安西部長は私を認めてくれようとしている。今まで何気なく仕事をしてきたけれど、こうして陰で見ていてくれたことが嬉しい。私は迷いを振り切ってなにがなんでも報告会議を成功させようと心に決めた。

「私、安西部長の期待に応えられるように頑張ります。自分のためにも」

「ああ、いい返事だ。それに、推薦するからには俺が全力でサポートする。だから大船に乗ったつもりでいけよ?」

コクンと力強く頷くと、安西部長は満足げに微笑んだ。

時刻は間もなく日付を跨ごうとしている。

今日一日で色んなことがあったけど、安西部長を見る目が変わってからなんだか意識してしまって、ベッドへ視線を向けると妙な動悸が走る。

「俺はもう少し仕事をしてるけど、部屋の電気消しても構わないからお前はもう寝ろ」

「え、でも……」

徐々に疲れが身体にのしかかってくると、次第に瞼も重くなる。何か言いたいのに言葉にならないのは疲労もピークだという証拠だ。

安西部長がまだ仕事をするっていうのに、自分だけ先に寝るわけには……。
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