あの日見た、花を灯して君へ
「嘘っ、なんでーー音が生きてるっ」


わたしは口を抑えて、涙ぐむ。



「あはっ、まつり。
何、花火見る前に感動してんの?
まだ、早いよ。
あれ、そのーーーー」


何ーーーー?


音の目が、何かを捉えたのがわかる。




指が止まった。












「未来の、まつりか。






じゃあ、過去の俺はーー居なくなるんだよな」












えっーーーーーー?





今、、なんて言った?




「音、わたしはーーーー過去も未来も音の側に居たい。
消えないでっ。
かんざしなら、ここにあるからーー。






もう、買わなくていいから。

居なくならないでっ」




わたしは必死だった。



音がーーーー切なげに笑うから。




無理な気がした。

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