あの日見た、花を灯して君へ
自分が、死んでるーー?


手を見つめた。
わずかに消えかけ始めている手を、抑えた。

ありえない。
絶対、ありえない!


だって、、さっきまで
生きていた。

確かに生きていた。



「あんた、彼女にかんざしを買った。
そして、事故にあった。

そしてーー死んだ。

思い残すことはないなら、今すぐ門をくぐってお行き」


思い残すことーー?



まつりが楽しみにしていた長岡花火。

今年は、いつもと違う大花火大会。

楽しみだね、って言ってた花火。

「ーー花火。

彼女と見る約束をした。

それだけはーー叶えたい」


口にした約束。

叶いたい夢がある。

たとえ、、この体が尽きようとも
まつりに会いたい。

変わらない想いがあるから。




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