あの日見た、花を灯して君へ
「ーーー泣かない泣かない。
大丈夫、花火になっていつも君を想ってるよ。


あー、きっと心配してるね。
俺と居てね。
新手のナンパかって、きっと空から心配してるね!」

そう、洒落たことを口にして軽そうな感じでーーだけどその手は、優しくて。



ホッとして、安心して見上げて目が合った。


開かずには居られないわたしの口は。





「あなたは、変わってるね」



そう、口走っていた。



「俺の名前、永遠ね」


永遠ーー?





ニコニコ笑ってばかりの、永遠との出会い。






「わたしは、わたしはーーーまつり」




自分の名前は、あまり好きじゃない。


躊躇う、伝統行事と同じとか。


笑い者じゃないか、とか。
バカにされないか、とか。







「ーーーまつり、か。
いい名前だなっ」


は?


いい名前ーー?



今の今まで、嫌いだった名前が。

この一瞬、好きになりかけた。

さらにーーー。


「ねえ、まつり。









俺と、付き合って。



彼のこと、忘れなくていいから」




は?



そんな、いきなりの告白。








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